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そろばんで九死に一生を得る

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2006年3月、僕は、NTT東日本病院の集中治療室(ICU)にいた。43歳を迎えた月のことだ。

そして、生死の狭間を彷徨った。

診断の結果は、脳梗塞だと後に知った。

これで人生終わりかも、という気持ちが一瞬よぎった。

幸いにも、 発見がはやかったので、事なきを得たのだが。

入院期間は約1ヶ月で、その間、毎日単調なリハビリのメニューをこなした。

例えば、お手玉を左右の手から手へ移動する、発声の反復練習、簡単な計算問題を解くなど。

しかし、退屈で、正直、効果にも懐疑的なものばかりだった。

僕は、過去にそろばん日本一の称号を拝受したことがあった。

41年前のことで、まだ、小学6年生の時だ。その翌年も、連続で日本一となった。

まだ小学生の柔らかい頭の中で、イメージ上のそろばんを弾き、視覚が高速で捉える数字を、瞬時に処理していくのだ。

それがあるときから、能動的に意識して処理することなく、脳が自動処理するような感覚を掴んだ。

そこから、加速度的に、そろばんの能力が向上し、日本一への階段を上り詰めた。

ある日、病床の上で、何気なく、頭の中にそろばんをイメージしてみた。

そして、適当に数字を思い浮かべ、イメージの中のそろばんを弾くと、思わぬ感覚が走った。

脳神経の流れが感覚的につかめて、数字の高速処理と連動して、脳が再び動き出すような感覚だった。

その後、家からパソコンを取り寄せ、暗算アプリを用いて、本格的にそろばんによる独自のリハビリを開始した。

毎日、1時間程度、画面に向かって、3ケタの数値が瞬時に表示されるのを、15回足し上げるということを繰り返した。

当時、健常時のレベルは3.0秒だったが、毎日の練習によって2.0秒まで向上した。

日本一になった当時のスコアが1.8秒だったので、かなりの向上といえる。

と同時に、病院の通常のリハビリのメニューにおいても、ほぼすべてで健常者のレベルを超えていると、主治医の先生から驚かれたのだ。

何か、思わぬことが起こっている!?

もしかしたら、そろばんには、脳機能を再生する効果があるかもしれない?

そう思って、 科学的にそろばんの効果を説明しているものを調べてみた。

その結果は、想像を十分に裏付けるものだった。

ある説に基づくと、そろばんには、右脳を発達させる効果があるという。

また、指先で細かい操作をすることが、脳の作動記憶(ワーキングメモリー)と呼ばれるトレーニングに有効で、脳の機能を改善するとも書かれていた。

少し専門的な説明だが、指先を使用して計算することで、シナプスの絡みを促進し、ニューロンネットワークを構築するのだという。

また、そろばんは脳機能の低下を抑え、認知症予防になるようだ。

そして、右脳を使用した記憶は長期間定着するので、記憶力が向上する効果もある。

一般に、問題解決・発明などのヒラメキは右脳から発生すると言われており、右脳の活性化によって問題解決力が向上したり、集中力が向上するのだという。

そろばんは凄い!

そろばんで、誰かのお役に立ちたい!

一度は失っていたかもしれなかった命である。

再び、神様から与えられた命であるのならば、この経験をぜひ、誰かのお役に立てたい。

そろばんに、脳機能の改善効果があるとしたら、誰にでもその効果を享受できて、一人でも救える命を救いたい、

そう思った。

そろばんで世界を救える!

とまでは言えないかもしれないけれど、

一人でもいいから、誰かの命を救えるかもしれない。

少なくとも、自分自身が救済されたのだ。

そう確信した。

そして、誰にでも気軽にそろばんに触れることができる、そのような、商品かサービスがつくれないものか、とアイデアを巡らせる毎日が続いた。

そんな時、最近購入したiPadで、ピアノのアプリを触っていた時だった。

ふと、思いついたのだ。

このサイズ。ピアノを弾くように、そろばんも弾ける!

そして、僕は、iPadのそろばんアプリの開発に乗り出した。

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コメント

  1. Mr WordPress より:

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